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聖剣3・ホークリ
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2011強化_07
※強化作品は連作となっております。できれば01からご覧ください※
最後の想いをただ風に乗せ このまま時が止まるなら
最後の強大な難敵を討ち倒し、世界に平穏が訪れた。
マナの剣も、マナの女神様も、マナそのものも地上から喪われてしまったけれど、確かな希望の種が芽吹くのを見届けて、6人は静かに聖域を後にする。
旅は、終わった。
終わったのだ。
だが、感傷に浸っている暇はない。一刻も早く故郷へ帰還しなければならかった…6人の英雄はそれぞれの故郷にとって要人であり、成すべき大事が山のように待っているのだから。
フラミーで皆を送るため、リースは最後にフラミーと一緒にローラントへ帰ることとなる。早く故郷へ帰りたいと急く聖剣の勇者を最初に、次に雪の王国、次に夜の王国、次に光の神殿…と順に立ち寄り、仲間との別れに涙を流し、肩を抱き合って再会を誓い合った。
実質最後の送り先となる砂漠へ向かう道すがら、フラミーの背の上で二人はもう言葉を交わすことは出来なかった。
仲間との別離は勿論辛いもの。
けれど今、それ以上に二人の胸を詰まらせるのは、長い旅の間に特別な存在となってしまった互いを前に、どんな想いも言葉に出来ないからだった。
元よりホークアイもリースも想いを打ち明けるつもりはなかった。しかし今こそ最後の時を迎え、いっそ言ってしまおうか、言わなければ後悔するのではないか…という未練にも似た気持ちばかりが生まれ、それを抑えようとする気持ちと戦うことで、胸の内が嵐のようだったからだ。
もう、最後の機会かもしれないのに。
誘惑は強く、旅の間十分に育て上げたつもりだった理性を容易く打ち破ろうとする。
互いを見る勇気すらない。
見れば、必死の思いで塗り固めた防御壁は想いの前にあっさりと崩され、告げてはならない言葉が溢れてしまいそうだった。
いっそこのまま、永遠に空を二人で彷徨っていられたら――。
いつしか視界は黄金色の砂に覆われていく。
ああ、その時が来てしまった。
二人はただ同じことを思い、溜息を吐く。別れの時が、きたのだ。
バストゥーク山を住処とする山の守護者が一声啼く。
それは、あたかも弔いの鐘の音のよう。
果たして、弔われるのは何か?
遙か彼方に見えていた地表がゆっくりと近づき、ナバール盗賊団の堅牢な城塞が砂の中に姿を現す。
フラミーは、城塞の手前にゆっくりと着地した。
砂が舞い、乾いた太陽の匂いに包まれる。
フラミーが羽根を畳んでも、二人はしばらく身動き出来なかった。
やがて、軋む音が聴こえるかのような動作で、ホークアイがフラミーから降りる。
反射的にリースも鳥の背を降りていた。
ホークアイは驚いた顔で瞳を見開いた。
リースは視線を受け止めながらただ、唇を噛んだ。
二人の間を砂漠の風が通り抜ける。
「じゃあ、俺はここで」
一瞬にも永遠にも思えた時間の後、ホークアイが言った。
「長いこと、世話になった。…ありがとう」
「はい…あの、私こそ」
二人の胸の内の嵐はますますひどくなる。それに比例して、言葉は出てこなくなってしまう。
ただ、視線だけは反らさず、二人見つめあい続ける。
今のこの時、ただひとりの人の姿を忘れぬように。
それぞれの心を支配する、目の前の人を記憶に焼き付けるために。
「もう、行かなくちゃ」
「…はい…」
言葉とは裏腹に、ホークアイは動かない。
リースも、背を向けることが出来ない。
何度目かの同じやり取りの後、ホークアイがリースの前に腕を差し伸べた。
「リース…」
名を呼ばれるだけで、リースの胸が切なく鳴いて、壊れてしまいそうだと思った。
眼の奥が熱くなって、必死に瞬く。泣くわけにはいかないから。
差し伸べられた手。
旅の間、様々な形で私を守ってくれた、その大きな手。
「握手、しよ。俺たちの、友情の証に」
リースは、その細い肩が震えていることに気付いているのだろうか。
今までもこれからも、多くの国民の旗印として想像もつかぬほどの重みを乗せていくであろう、その肩が。
叶うなら、側で支えたかった。これから先も、ずっと。
純白の手袋に覆われた小さな手が震え、そっとホークアイの手に重ねられる。
確かな熱と質量。
彼の。
彼女の。
きっと、もう永遠に触れることはない――。
ホークアイはその手を引き、リースの頭だけを引き寄せていた。
リースは、縋ることなく手と頭だけをホークアイに預ける。
伝えたい気持ちがある。何の打算も駆け引きもない、真実の想いが。
長い時間をかけて築いてきた、確かな一つの形が。
誰にも恥じることも、隠すこともないはずのもの。しかしそれでも。
伝える訳にはいかないと、結論づけなければならないこともあるのだと。
自分たちの間に存在する想いはまさにそれだったのだと、二人ともずっと以前から知っていた。
そうであっても、叶うのならば、どうか…どうか。
「元気で」
「はい…ホークアイさんも、お元気で」
交わされる言葉は、それだけ。
それでも確かに、二人の間だけに通じ合うものがあるのを、感じている。
それは、幸福でなくて、一体何なのだろう。
――ありがとう。
どちらのものかも判らぬ声が、風に舞い上げられて消えていった。
最後は少し迷いましたが、テーマに沿って両片想いのままで終わらせていただきました。
さぁ、この書き方だとこのまま別れて終わるような気もしますが、さて、今後二人はどうなるのでしょうね。ご自由に考えて頂ければ嬉しいです。
ただ、個人的には私はハッピーエンドが好きです^^^^←
告げられずにただ抱き続ける想いって、どうしてこんなにぐっとくるんでしょう…。
そんなことを考えながら強化用のあれこれを考えたり形にしたりしていました。
最後までお付き合い下さって、ありがとうございました。
ホークリ強化企画サイト様*
2011.02.01 Tuesday