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聖剣3・ホークリ
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2011強化_04
※強化作品は連作となっております。できれば01からご覧ください※
せめてともにと
「散りぎわはわきまえているつもりだ…」
仇として追い続けてきた女は、最期まで身勝手な言葉だけを残して塵と消えた。
直接手を下すことは出来なかった…しかし、今まで努力によって間接的に仇を討ったと言えるかもしれない。そう前向きに思い直した。
今は、仇の事より何よりエリオットが無事ローラントに返された、と聞いたことで安堵感で胸がいっぱいだった。実際に確かめなければ本当の意味で安心は出来ないが、あの日からずっと心を苛み続けてきた重圧が消えたことで、身体まで軽くなったような気持ちだ。もっとも、今はその喜びを噛みしめている暇はないのだが。
「美獣…」
はっとした。ホークアイだ。美獣が居た場所の土を握る手…筋と血管が浮いたその形は、やり場の無い悔しさそのものだった。
自ら手を下したかったに違いない。それは私も同じだから。
ふと、気づく。
ホークアイは仇である美獣を倒すためにこの旅を続けていた。人質に取られていた幼馴染の少女は既に開放され、療養中だ。
もしかしたら、旅の目的を達した彼は、幼馴染の少女の看病のためにここで旅を終えるのかも知れない―そう思った途端、先ほどまで飛べるかというほど軽くなっていた心にずしりと鉛が沈んだ。
もう、会えなくなる…?
ずっと気付かない振りをしているが、種子から出た樹の芽がいつの間にか大きく成長していくように、いつの頃からか胸に宿った正体不明の感情。それは目の前のただ一人に支配されている。
ホークアイが笑えばざわざわとその葉を揺らし、ホークアイが苦しそうにしていれば濃い影を落とす。誰か他の人―特に女性―と親しげにしている姿を見れば、蔦が壁を覆い尽くすように心が暗く覆われる。
いつだって陽を求める花のように、目が、五感の全てがホークアイを追ってしまう。
彼が居なくなってしまったら、果たして自分はどうなるのだろう。陽を失った植物はただ枯れるのみだというのに。
「イーグルの仇だった美獣が…」
握り締められた手から零れ落ちる砂。どきどきと緊張で胸が高鳴るのを自覚した。その先に続く言葉を想像して、心が凍る。
「だが、これで終わったわけじゃない」
えっ。
弾かれたように顔を上げたとき最初にホークアイが見えた。迷いのない瞳の色に、何故か泣きたくなる。
「たとえ相手が美獣でなくなっても、オレはみんなといっしょに行くよ。イーグルもきっとそれを望んでいるはずさ」
「…私もお父様の仇がいなくなってしまったし、美獣が言っていた事が本当なら、エリオットも無事に戻ったのだろうけど、ここでやめるわけにはいきません」
ー本当に平和な世の中が来たと言える日まで、みなさんといっしょに行きます。
大丈夫だっただろうか、不自然な言い方にならなかっただろうか。
ホークアイが行くと言った、それに追従するだけのように聞こえなかっただろうか。
聖剣を抜いたデュランを始め、皆が僅かにほっとした表情を浮かべているように思える―きっと、大丈夫。
これでもうしばらく、一緒に居られる…。
朝のおはようと、夜のおやすみなさいを毎日言える。
同じ魔物の血を浴び、同じ戦いと罪を重ねていける。
そう思っただけで、どうしようもなくこころが震えた。
こんな風に思うのは不謹慎だろう。
世界を脅かす影は消えていない。フェアリーも行方不明だ。
慌てて気を引き締めて前を向く、その瞬間。
ホークアイと瞳が合った。
彼の切れ長の瞳が、あまりに優しく自分を見ている。
いや、それは自分の身勝手な願望による幻想だろう。
そう思うのに、視線を外せない。
育ち過ぎたこころの樹が、ざわざわと絶えず音を立てている。
リースを見つめたまま、ホークアイが微かに笑った。
心臓が飛び上がり、今度は視線を合わせていられなくなる。
逸らした顔に血が集まっているであろうことは、頬の熱さから知れた。
(彼と同じ罪に染まる―なんて眩い世界)
イラストは、恋する乙女・リースヴィジョンということで…笑。
どうなんでしょう、実際リースは自分の感情にまだ名前を付けることが出来ないで居るのかなって思いながら書いてました。あるのはわかってるけれど、なんなのかわかんないっていう…。ホークアイは自分の感情に関しては、解ってると思います。伝える気は無いかも知れませんが。
ホークリ強化企画サイト様*
2011.02.07 Monday