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聖剣3・ホークリ
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2011強化_02
※強化作品は連作となっております。できれば01からご覧ください※
星の葬送
仇は討った。
記憶にこびりついて消えなくなった愛する弟を拐かした憎い敵は、砂漠の塵となり果てた。既に人ですらなかったのか、と心の内で誰かが冷酷に呟くのを聞いた。
結局弟は返ってこなかったが、憎しみの矛先のひとつであった二人を殺したというのに、この喉奥に引っかかって取れなくなった魚の小骨のような不快感は、何なのだろう。
悶々としたまま時は過ぎ、いつしか陽は落ち砂漠の町に夜が訪れる。
――夜の砂漠は冷えるから、甘く見ない方がいい。
そう教えてくれたその人が、仲間たちに一言の断りもなく軽装でふらりと宿の外へ出かけて行くのが見えたから、驚いた。
教えられたとおり外気は真冬並みに冷たく、一瞬立ち止まったが、結局吸い寄せられるようにホークアイを追いかけていた。
町外れの丘。
星の光が雨のように降る中、ホークアイを見つけた。
駆け寄り、声を掛けても反応がない。
どうしたものか…答えは出ない。けれどどうしても放っておく気にはなれなくて、気付けば触れない程度の距離を置いたまま背中側に腰を下ろしていた。
じっとしていると寒さが外気と同時に足元からせり上がってくるよう。けれど、背中に微かにホークアイの温度を感じると思うと、途端にほのかにあたたかくなった気がしてほっとする。
ホークアイは一言も発しない。
いつもはホークアイが何がしか話を振ってくれてそれを受ける形が多いけれど、今のホークアイはそういう雰囲気ではない。雑談が得意な訳でもない。一体何を話したら良いのか、どうしたらいいのか、検討がつかず途方に暮れるばかりだった。
町からさほど離れていない場所であったが視界に入る景色はどこまでも砂と空だけで、まるで世界に二人ぼっちになってしまったかのような錯覚を覚える。
だから余計に、背の彼の温度から離れる気になれない。
「…墓も作れない、か」
ようやくの後、ぽつりと彼が零した。えっ、と振り返ったが、リースに聞かせるための言葉では無かったのか返事はない。ホークアイの広い背も、動かなかった。
諦め、首を巡らせてゆっくりと前に向き直ったとき、唐突にホークアイが何のことを言ったのか、その意味を理解した。
喉に刺さった小骨。
それは…。
「…あの星、名前」
感情を感じさせない声が、静かに耳朶を震わせる。
「教えてもらったんだ。一番、明るい星」
淡々と、リースが聞いていてもいなくても関係なさそうに言葉は続けられる。抑揚のないそれは、確かにホークアイの声なのに、その事実を疑わずにはいられないもの。色を無くした砂、そのもの。
「星、好きだったんだ」
誰が、とは、確かめずとも知れている。
砂の渓谷に響いた、悲痛な呼声―。
双子の忍者、彼らの…。
「いつも二人で見ていた。だから、いつの間にか俺も見るようになって―」
笑い声が聞こえる。男の子の声だ。何人か居る。凍える砂漠の中で身を寄せ合い、そこだけ色が付いたように賑やかに笑う声。空に伸ばされた何本かの腕。星を数えているのか、あるいは星座を探しているのか。
何度も瞬く。闇の中、確かにその姿を見たような気がした。
「星、好きだったんだ」
ホークアイの表情は見えない。見えないけれど…。
胸の奥からせりあがる熱。それは喉の小骨を灼き、勢いを失することなく瞳から溢れた。
幾筋もの熱いものが、止めどなく頬を伝い落ちていく。
「…どうして、リースが泣くの」
ホークアイが言って初めて、泣いていることに気付いた。
慌てて流れ続ける涙を見る。
どうして泣いているか。
そんなの、決まっている。
―泣いているのは、ホークアイさんの方じゃないですか。
気付いていないのですか?
背中から侵入し、胸を通って込み上げるものに阻まれて声にすることが出来ない。
ホークアイは、それきり何も言わなかった。リースの涙を拭ってくれることもなかった。だから、憚られることなくただ涙を流し続けた。
ホークアイの、代わりに。
ぼやけた視界の中、星の輝きだけが鋭さを増し、胸に深く刻まれた。
砂漠の国でのあの辺りのイベント、割とさらっと描かれてますが、だから余計に色々と考えてしまうのです。
辛い時に泣けない、そういうのはホークアイの方が強いので、代わりにリースを泣かせてみました。リースはホークアイに惹かれてることに気付いてませんね。多分。
ホークリ強化企画サイト様*
2011.02.03 Thursday